デラウェア州ウィルミントン


恐らく単なる旅行では行くことがないだろうと思われる、デラウェア州ウィルミントンの話である。
旅行では行くことがなくても、アメリカとのビジネスに携わっている方であれば、デラウェアと
言えば必ずピンとくるはずである。
というのも、アメリカの上場企業の半分以上、非上場企業も含めると100万社以上がここデラウェア州を
登記上の本社としている。
それは、後に説明する税制も一つの大きな要因となっている。(他には、会社法などもその要因となっているらしい)
デラウェアでは特に写真などを撮るようなところもなかったので、写真はないので悪しからず。

デラウェア州の位置

デラウェア州は、フィラデルフィアのあるペンシルバニア州の南側に位置するとても小さな州である。
Google Mapで表示させようと思ったが、あまりにも小さく上手く画像にできなかったので、
こちらで確認してほしい。
地球の歩き方によると、全米で2番目に小さな州とのことだ。
にも関わらず上に書いたようにアメリカ企業のとても多くがここデラウェア州に本社を置いている。
デラウェア州で最大の都市は、ウィルミントンという都市で、私は毎月ここに出張に行っていた。

デラウェア州へのアクセス

私の住んでいたフィラデルフィアからウィルミントンへはInter State 95号という高速を使えば30分ほどの距離だ。
そして、この高速がいつも空いていたので、80マイル(140キロ)くらいで飛ばしていた。
そのため、パトカーが見えるとビビッてしまった記憶がある。

アメリカ国内のタックスヘイブン(租税回避地)

何故私がそんな小さな州に毎月行っていたかといえば、このタイトルにあるように、
当時働いていた会社が節税策でデラウェア州に会社(当然ペーパーカンパニー)を作っていたためである。
News Weekで「世界最悪のタックスヘイブン」と紹介されるほど、ここデラウェアの
税制は企業にとって魅力的なものである。
その一つとして、知的財産等から生じる所得には税金を課さないという制度があり、
当時の会社はこの制度を利用していたので、デラウェア州に子会社を置いていた。
そして、この会社の月次決算をやるために毎月出張に行っていたのである。
会社とは言え、ペーパーカンパニーなのでワンルームマンション程度のオフィスに電話とテーブルが
置いてあるだけなので、月次決算といっても大したことはないのだが、
問題はそこで一人こもって仕事をするというのは何とも寂しさを感じたものである。
(詳しく言うと、フィラデルフィアの本社からデラウェア州の会社に知的財産を譲渡して、
デラウェアの会社に多額のロイヤリティを支払って税負担を軽くするという方法だ。)
ちなみに、このような魅力的な税制にしている理由としては、総合化学メーカーデュポンの創業家が
デラウェアに住んでいて、デラウェア州の大きな財源の一つとなっていたため、デュポン家がデラウェアから
引っ越しをしないようにこのような税制にしているとの話であった。

そして、この税制に関連して、この出張は同僚にも羨ましがられる美味しい特典があった。

当時の名刺
当時の名刺

消費税のない州

アメリカでは、ほとんどの州でSales Taxと呼ばれる日本の消費税に近い税金(税理士としての知識を
ひけらかすように言っておくと、日本の消費税は仕入税額控除が認められるが、アメリカのSales Taxは
仕入れ税額控除ができないという相違点はある。)があり、税率は州によって異なるが、6%~8%の
州が多いように思う。
しかし、アメリカのタックスヘイブンことデラウェアでは、そのSales Taxがかからないのである。
という事で、8% OFFで買い物をできるとあらば、出張の時はワインなどここぞとばかりに買いだめを
したものである。
これが同僚に羨ましがられる出張のメリットだった。
同僚の中には、パソコンなどの大きな買い物をする時は、車でデラウェアまで行って買っているという
しっかり者もいた。

バイデン駅

アメリカ版新幹線とも言うべきアムトラックの駅でデラウェア州にある駅の名前で Joseph R. Bidenという
駅がある。
バイデンという名前を聞いたこともある方も多いと思うが、今年の大統領選挙の民主党の候補者、バイデン氏
にちなんでつけられた駅名である。

という訳で、有名な観光名所のある訳でもないデラウェア州だが、非常にユニークな州でもあると思うので、
ワシントンやフィラデルフィアにいらっしゃる方は買い物がてらデラウェアに足を伸ばしてみるのも良いかも
知れません。


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